ダビデの星

バイト先では、クリスマス会に向けて子供らが劇だかミュージカルだかの練習に精を出していた。
「赤鼻のトナカイ」かなんか。
ご苦労様やなと思いつつ、自分はパソコンで業務をしていた。




幼稚園の年長時、クリスマスのころ。
キリスト教系の幼稚園に通ってたんで、キリストの誕生劇をやった。
どうやってキャスティングが決まっていったかはおぼえていないが、博士役がやりたいと思ってた自分に与えられた役は羊飼い、に飼われる羊。
羊Dくらいやったと思う。
灰色のトレーナーを当日着るように告げられた。


休日の父親のように横になり、羊飼いによって他の羊と共に起こされ、退場する。

ただ、それだけである。

メェ、という台詞すら、ない。

キリストのオトンや博士みたいな、決してカッコイイ役といえるものではなかったが、与えられたポジションを無難にこなしたと記憶している。
でも、なんで羊役になったんやろ?と思う。
なんでや?




先生が「あなたは〇〇役、あなたは××役、あなたは・・・」
と配役を決定してるのを聞きながら、羊役と決まった時の、あの頃の自分を目の前の子供たちに重ねていた。