そこにテレビがある風景

なんかすごいテレビが開発されてるそうな。
何がすごいかって見る角度によって違う番組が見れるってんだから、びっくり。
開発者は「チャンネル争いもなくなるんじゃないか」だって。そうだろうなあ。


自分の小さいときはまさに毎日が戦争だった。中でも天王山が土曜夜8時。


まず、僕が「全員集合」にチャンネルを合わせる。
次に姉が「ひょうきん族」にしようとする。(後に僕はひょうきん族派になる)
僕「あ〜何勝手にチャンネル変えとるんやて〜」
姉「いいやん、ドリフなんてワンパターンで面白くないやん」
僕「何いっとるんやて、ドリフ面白いんやで」
ガチャガチャチャンネルを変えあってるうちに祖母がしれっと「暴れん坊将軍」に変える。
僕・姉「あ〜時代劇なんてや〜や〜」
即、変える。
祖母「なんやね、ちょっとぐらい見せてくれたっていいがね〜、意地が悪いねぇ」
何と言われようが知ったことっではない。


チャンバラより、ヒゲダンス。
「あほちゃいまんねん、ぱぁでんねん」より、「志村、うしろうしろ」である。


やがて姉との間でとりあえずCMになったら見たいほうに交代するという和睦を結ぶ。
束の間の平和が訪れるも、父が仕事から帰ることで、事態は風雲急を告げる。
部屋に入るなり野球にチャンネルを変える。まさに速攻。
父「お、中日勝っとるやねえかー、ええぞ小松」
僕・姉「ちょっと〜こっちが先にみとったんやでね〜」
父「しらんやねえかそんなもん。わしに野球見せろて。」
僕・姉「いーやーやー」
祖母「今いいところやでちょっと11(朝日系チャンネル。暴れん坊将軍である)見せてよ」
僕・姉・父「いーかーんー」
そして延々とあてのない戦いを繰り広げる。


4人の戦士たちによる死闘は、いつだって一発の核爆弾で幕を閉じる。あっけなく、だ。
我が家のB−29、母である。
母、大激怒「あんたらいつまでやっとるんやね。もう今日はテレビ無し!」



しゅん。


兄(中立)「ああ、とろくさっ」



終戦



沈黙の晩餐。互いの目が、
「おめえのせいでテレビみれんかったやねぇか」
と訴える。冷戦である。


・・・とまあ昭和の1カット。
我慢したりつらいこともあったけど、今思えば、あれはあれで楽しかったなあ。